自分はまだまだ関係ない、と思っているかもしれない「白髪」。でも、人によっては10代や20代からちらほら出始めることもあり、白髪を初めて見つけたときはなかなか受け入れられなかったという声もあります。
今回は、ホーユー研究員の小林紗也さんに若白髪の原因や白髪対策について、国際毛髪皮膚科学研究所の井上哲夫先生に若白髪から考えられる病気などについてお聞きしました。
監修
小林 紗也さん
ホーユー株式会社 総合研究所
製品開発第一研究室 研究員(取材当時)
監修
井上 哲夫
一般社団法人 国際毛髪皮膚科研究所 理事/所長。東京理科大学卒業後、総合化粧品メーカーに入社。ヘアケア・スキンケア商品の研究開発部長を経て、国際毛髪科学研究所を設立。東洋医学を美と健康に応用する「脱毛ケア」「頭皮ケア」のオーソリティとして、現在までに全国各地のがん診療拠点病院および7000店以上の理美容店、その他各種医療セミナーで講演・指導実績を持つ。
若白髪と白髪の違い
見た目は全く同じように感じる若白髪と白髪ですが、原因などに違いはあるのでしょうか。若白髪なのか、加齢に伴う白髪なのかを見極めるのが難しいという方は参考にしてみてください。
そもそも「若白髪」は何歳で生えることを言う?
井上さん「一般的に白髪が生えはじめる平均的な年齢は男女とも35歳を過ぎたころからとなります。これより低年齢での白髪は若白髪と言えるでしょう。現在10代〜20代でも白髪になる方も増えています。
毛根形態、髪の違いはありません。経験上、生える部位として、若白髪は頭部にランダムに全体に広がり、エイジングによるものはもみあげを中心に広がる傾向にあるようです。また病的な場合一か所に集中して白髪が発生することもあります」
(参照:LICOLO「白髪は何歳から生える?平均年齢は?男女差はある?」)
若白髪は遺伝的な要因が大きい?
井上さん「経験的な傾向では、白髪の遺伝は、母方に白髪が多いと男子に出やすく、父方に白髪が多いと女子にでやすいようです。
これまで遺伝に関する明確なデータはありませんでしたが、最近の遺伝研究の解析で白髪化にはIRF4遺伝子が関与していることがわかり、確かに遺伝性があることが示されています。少しずつ遺伝と白髪の関係が解明されてきています」
(参照:Nature「A genome-wide association scan in admixed Latin Americans identifies loci influencing facial and scalp hair features」)
若白髪の原因とは?研究員が解説
日本人の場合、一般的に白髪が生え始めるのは35歳過ぎと言われていますが、10代や20代の頃から若白髪が生えている人もいれば、いくつになっても黒々とした髪を保っている人もいます。
加齢による白髪は仕方がないと思えそうですよね。では、なぜ若白髪が生えてしまうのでしょうか。
そもそもどうして白髪になるの?白髪の原因は?
小林さん「実は生まれたての髪はすべてが白髪であり、毛根で髪が成長する時に色素細胞からメラニン色素を取り込むことで、髪に色が生まれます。この色素細胞が何らかの理由で機能が低下してしまう、もしくはなくなってしまうことが白髪の原因です。 しかしながら未だ白髪化のメカニズムは完全には解明されていません」
若白髪の要因は?
小林さん「白髪になる5大要因があり、「遺伝」「加齢」「生活習慣」「病気」「ストレス」が複雑に重なって、白髪になるのではないかと言われています。若白髪の要因も未だ解明されていないものの、若白髪は5大要因のうち「加齢」以外が当てはまる可能性があります。」
①遺伝
「白髪は遺伝する」とよく言われますが、白髪になる遺伝子はなく医学的に完全に証明されていません。両親と似た体質を受け継いでいるからと言って、必ずしも白髪の生え方も似るというわけではありません。まれではありますが、遺伝的要因により先天的にメラニン色素を生成できず白髪になる人がいます。
②生活習慣
現代人は食生活の偏り、頭皮や毛髪が浴びる紫外線量の増加により、頭皮の皮脂等の酸化により白髪や抜け毛に影響すると考えられます。また、油の摂り過ぎによる血流への悪影響や栄養状態の不良も影響すると言われています。
③病気
「●●という病気によって白髪になる」と実証されている病気はほとんどありません。白髪が多く増えたからと言って「何かの病気にかかったのでは?」と心配する必要はありません。ただ、病気に中にはメラニン産生に影響を及ぼすケースもあり、甲状腺機能低下症や尋常性白斑、フォークト・小柳・原田病などが知られています。また、円形脱毛症の後は、白髪が生える確率が高くなるでしょう。
⑤ストレス
白髪とストレスは関係があるとも言われており、近年、神経の興奮状態が続くと白髪になるという報告がありました。しかし、そのメカニズムの詳細はまだ解明されていません。交感神経と副交感神経のバランスがストレスによって崩れると、メラニン色素を作り出すための幹細胞が減少し、新しく成長する髪に対して色素細胞が不足してしまいます。その結果、髪の毛が白くなってしまうのではという研究結果もあります。一夜にして髪が真っ白になることは科学的にはありえませんが、ストレスが続くと白髪が増えやすくなるのかもしれません。
そのメカニズムはまだ解明されていませんが、「ストレスをためこまないように、自分なりの楽しみを持つ」など、「これをしたら精神的に落ち着く」ということがあれば、日常生活の中に取り入れるといいかもしれないですね。
(出典: Nature 「Hyperactivation of sympathetic nerves drives depletion of melanocyte stem cells」)
黒髪に戻れる白髪はある?
白髪には「黒髪に戻れる白髪」と「戻れない白髪」の2種類があるのだとか。
小林さん「髪に色をつけるためには「色素幹細胞」とそこから生まれる「色素細胞」の両方が必要で、その両方が存在しない白髪は黒髪に戻れませんが、両方存在しているにも関わらず色素細胞が機能していない白髪に関しては、メラニン色素を作ることができれば黒髪に戻る可能性があると言われています」
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若白髪から考えられる病気3つ
若白髪は病気の兆候を表すサインかもしれません。白髪と関係している3つの病気の症状から、自分にあてはまるものがないかチェックしてみてください。日頃から感じている不調の理由が判明するかもしれません。
悪性貧血
井上さん「悪性貧血はビタミンB12が不足することで起こる重症貧血。ビタミンB12はDNAの合成に必要な成分、つまりメラニン色素を作る細胞も作られなくなるため、悪性貧血の症状のひとつとして白髪が発生します。また、悪性貧血の場合だと冷え性、低体温を伴います」
悪性貧血は症状であってひとつの病名ではありません。この症状の中に、様々な病気が含まれています。なかには難病指定に登録されている貧血もあり、冷え性の人は要注意です。
甲状腺機能低下症
井上さん「兆候として考えられる2つ目は、甲状腺機能低下症です。甲状腺は体のエネルギー代謝を活発にするホルモンを分泌しています。低下すると疲れやすくなり、うつ状態になる方もいます」
甲状腺の機能が低下してホルモンが十分に分泌されなくなると、白髪が増える原因に繋がるようです。加えて、甲状腺機能が低下すると無気力や疲労感、体重増加、便秘などを引き起こすことがあります。症状が軽度であれば見つかりにくいこともあります。
腎機能低下症
井上さん「最後に、若白髪から読み取れるサインは腎機能低下。血液が浄化しにくく血液循環に影響して、白髪になることがあります。むくみにも気をつけてください」
血流が悪いと髪への栄養が届きにくく、白髪になりやすくなります。腎臓の病気ははっきりとした症状が表れることが少ないため、発見が遅れてしまうこともあります。
腎機能が低下すると余計な水分を排出できず、むくみやすい体質になります。腎機能低下によるむくみの特徴として指で強く押しても、くぼんだままでもどらなかったり、今まで履いていた靴が履けなくなってしまったりすることがあります。
若白髪は体からのSOSかもしれません。悪性貧血はビタミン投与で治療することができますし、腎機能低下症は薬物療法や食餌療法などが用いられています。放置するのではなく、原因をしっかりと解決することが大切です。
井上さん「白髪が気になってもけっして抜かず、根元から切りましょう。または、染めてください。さらに、今までの生活習慣を見直してみることをおすすめします。
病院に行くべきかについては、個人又は医師の判断となるので回答はできませんが、アドバイスとしては急に白髪が増え、体調にも変化があるときは、気を付けていただきたいです」
個人差や症状にもよりますが、急激な体調の変化は気にしておきましょう。
若白髪には毎日の生活習慣が大事!3つの対策を研究員が解説
できれば白髪をこれ以上増やしたくないという方は、こんな方法を試してみてはいかがでしょう。白髪予防に有効な食事法やケア方法についてご紹介します。
1:食事
小林さん「髪によいと言われる栄養素には、海藻類などに含まれるミネラル、乳製品などに含まれるたんぱく質やカルシウム、牡蠣などに含まれる亜鉛や銅などがあり、そうした栄養素を積極的に摂ることは、白髪対策として確かに有効と言えます。
しかしながら、それだけを摂取していても効果的とは言えません。髪を作る細胞や黒いメラニン色素を作る色素細胞がきちんと働くためには、それをバックアップするさまざまな酵素や細胞が活性化される必要があります。
「髪にいい栄養素」の摂取とプラスして、バランスのよい食事を心掛けることが大切です」
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2:紫外線対策
頭皮の状態が悪いと白髪が増えるリスクが気になります。日常的に頭皮の負担となるものといえば、やっぱり紫外線。
小林さん「帽子をかぶったり、日傘を利用したりして、普段から頭皮が浴びる紫外線の量を減らすとよさそうです。おしゃれもしながら、頭皮の健康を守りたいですね」
3:頭皮ケア
小林さん「シャンプーなど毎日のヘアケアは、髪の毛だけでなく頭皮の健康も意識して行うことが大切です。
今一度見直したいのがシャンプーの使い方。シャンプーの原液をくり返し頭皮に直接つけたり、頭皮をゴシゴシと強い力で洗ったりすると、頭皮の炎症につながる心配があります。シャンプーは手のひらか髪の毛先で泡立て、その泡で頭皮を優しく洗うようにしましょう。
また、シャンプーの成分が頭皮に残ってしまうと、その成分が酸化して頭皮の老化を促したり、頭皮が炎症を起こしたりする可能性があります。すすぎ残しがないようにしっかり洗い流すことが大切です。
シャンプーなどのお風呂での頭皮ケアの際は、お湯の温度にも要注意。熱すぎるお湯は髪や頭皮にとって必要な脂分まで落としてしまう恐れがあるため、ぬるめのお湯で洗い流しましょう」
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今すぐできる白髪対策は?
食事などの毎日の生活習慣の中でできる白髪対策は、継続していくことで結果が現れるものです。日々の地道な積み重ねが5年後、10年後の髪に影響を与えてくれそうです。
気になっている白髪への対策を今すぐ行いたいのなら、キレイな髪色が叶うカラーリングを試してみませんか。
ちらほら白髪も染まるヘアカラー
若白髪を染めたいときは、白髪用ヘアカラーを使うようにしましょう。黒髪用ヘアカラーでは白髪は上手に染まりません。
黒髪用ヘアカラーは黒髪やブリーチ等で明るくなった黒髪に適した色作りをしているのに対し、白髪用ヘアカラーは白髪と黒髪の色味を合わせるような色作りをしていますので、黒髪用ヘアカラーを白髪に使った場合、白髪が染まらなかったり、不自然な色味になることがあります。
「白髪染めだと髪色のおしゃれが楽しめない」と思っている方もいるかもしれません。しかし、最近の白髪染めはバリエーションが豊富なので髪が真っ黒になることがありません。おしゃれ染めとほとんど変わらない美しい仕上がりが叶うので、安心して髪色を楽しめます。
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黒髪もちらほら白髪もきれいに染まる
自分に合った髪の色の選び方は?
髪の色は印象にも大きな影響があり、ピンク系は可愛くも大人っぽい印象を与えたり、アッシュ系は洗練された印象を与えたりします。好きなカラーを選ぶのはもちろん、なりたいイメージに合わせて選ぶのもおすすめです。
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年齢の悩みと向き合うのは不安がありますが、変化と向き合いながら、年齢を重ねてもおしゃれを楽しみたいですよね。
気分が上がらなかったり、キレイになりたい気持ちを忘れかけたりしてしまったら、身近な髪色からリフレッシュしてみるのもおすすめです。髪色を変えて、ワクワクした気持ちを楽しんでみませんか?
今回は若白髪の要因や白髪対策についてご紹介しました。
これから生えてくる白髪は、なるべく少なく、なるべく遅くしたいですよね。若白髪やちらほら白髪も好きな髪色でカラーリングができる今、おしゃれを楽しみながら、食事や習慣の見直しで白髪ができにくい対策を行いましょう。