「え、若白髪!?」その原因と対策を専門家に聞いてみた

「え、若白髪!?」」白髪・若白髪の原因と対処法を専門家が解説

年齢を重ねると増えていく白髪ですが、若い頃に生えた白髪は特に気になりますよね。最近では10代や20代でも白髪に悩んでいる人は増えています。若くして白髪を見つけてしまうと、どうして?と原因が気になってしまいますよね。

そもそも、若白髪と白髪が違うことをご存じでしょうか? 若白髪はもしかしたら、病気のサインかもしれません。

そこで今回は、国際毛髪皮膚科学研究所の井上哲夫先生に若白髪のメカニズムや対策についてお聞きしました。

若白髪と白髪の違い

若白髪と白髪の違い

見た目は全く同じように感じる若白髪と白髪ですが、原因などに違いはあるのでしょうか。若白髪なのか、加齢に伴う白髪なのかを見極めるのが難しいという方は参考にしてみてください。

そもそも「若白髪」は何歳で生えることを言う?

井上さん「一般的に白髪が生えはじめる平均的な年齢は男女とも35歳を過ぎたころからとなります。これより低年齢での白髪は若白髪と言えるでしょう。現在10代〜20代でも白髪になる方も増えています。

(参照:LICOLO「白髪は何歳から生える?平均年齢は?男女差はある?

毛根形態、髪の違いはありません。経験上、生える部位として、若白髪は頭部にランダムに全体に広がり、エイジングによるものはもみあげを中心に広がる傾向にあるようです。また病的な場合一か所に集中して白髪が発生することもあります」

白髪の原因は?黒く戻る?

井上さん「髪を作る毛母細胞と同じ部分にメラノサイトという色素細胞があり、メラニン色素を作って髪に色がつきます。このメラノサイトの働きが様々な影響で停滞すると白髪になります。若白髪は一時的な休止で、環境が整うと黒髪に回復する可能性があるといわれます」

若白髪は遺伝的な要因が大きい?

井上さん「経験的な傾向では、白髪の遺伝は、母方に白髪が多いと男子に出やすく、父方に白髪が多いと女子にでやすいようです。

これまで遺伝に関する明確なデータはありませんでしたが、最近の遺伝研究の解析で白髪化にはIRF4遺伝子が関与していることがわかり、確かに遺伝性があることが示されています。少しずつ遺伝と白髪の関係が解明されてきています」

(参照:Nature「A genome-wide association scan in admixed Latin Americans identifies loci influencing facial and scalp hair features」)

若白髪の原因3つ

白髪の原因3つ

若白髪の主な原因はストレス、睡眠不足、栄養不足で、生活習慣が大きく関わっています。普段何気なくしている習慣が、実は白髪の原因になっているかもしれません。今回お伝えする3つの原因を参考に生活リズムを見直し、継続的に改善していくことが大切です。

原因1:ストレス

井上さん「若白髪の大きな要因としてはストレスが考えられます。現代人はパソコン、スマホなど膨大な情報を受け取っています。これは眼精疲労も含め大きなストレスとなります」

情報にあふれている現代では日常生活を送るだけで、疲れてしまうのも仕方がないことなのかもしれません。ですが、就寝前のベッドルームにはスマホを持ち込まないようにするなど、日頃のルーティンを見直してみてください。

原因2:睡眠不足

井上さん「ストレスの次には睡眠が挙げられます。時間が短い、夜更かしが多いことなどからストレスをため込む状態が多く、解消しにくいようです」

政府が発表している「健康づくりのための睡眠指針」という調査結果では、「個人差はあるものの、必要な睡眠時間は 6 時間以上 8 時間未満のあたりにある」と説明されていました。

(出典:健康づくりのための睡眠指針2014

睡眠不足が結果的にストレスに繋がりやすいので要注意です。睡眠負債なども問題になっていますが、十分な睡眠時間を確保できるよう日中のスケジュールを調整した方が良さそうですね。

原因3:栄養不足

井上さん「体の栄養はすべて口から食べ物として取り入れています。髪の組成においてメラニン色素の原料であるチロシンがタンパク質の一部にアミノ酸が含まれているので、良質なたんぱく質が必要です」

厚生労働省によると「たんぱく質の含有量が多く利用率の高いもので、卵類・肉類・豆類などがあげられます」と説明されています。普段の食事で意識して取り入れてみてください。

(出典:e-ヘルスネット)

また、たんぱく質の1日あたり推奨摂取量は「18歳以上の男性で60g/日、女性で50g/日」とされています。最近ではダイエットや偏食の影響で、たんぱく質不足になっている人も多いのでは。しかし、だからといって極端に摂取しすぎないように気をつけましょう。

(出典:日本人の食事摂取基準(2015年版))

若白髪から考えられる病気3つ

若白髪から考えられる病気3つ

若白髪は病気の兆候を表すサインかもしれません。白髪と関係している3つの病気の症状から、自分にあてはまるものがないかチェックしてみてください。日頃から感じている不調の理由が判明するかもしれません。

悪性貧血

井上さん「悪性貧血はビタミンB12が不足することで起こる重症貧血。ビタミンB12はDNAの合成に必要な成分、つまりメラニン色素を作る細胞も作られなくなるため、悪性貧血の症状のひとつとして白髪が発生します。また、悪性貧血の場合だと冷え性、低体温を伴います」

悪性貧血は症状であってひとつの病名ではありません。この症状の中に、様々な病気が含まれています。なかには難病指定に登録されている貧血もあり、冷え性の人は要注意です。

甲状腺機能低下症

井上さん「兆候として考えられる2つ目は、甲状腺機能低下症です。甲状腺は体のエネルギー代謝を活発にするホルモンを分泌しています。低下すると疲れやすくなり、うつ状態になる方もいます」

甲状腺の機能が低下してホルモンが十分に分泌されなくなると、白髪が増える原因に繋がるようです。加えて、甲状腺機能が低下すると無気力や疲労感、体重増加、便秘などを引き起こすことがあります。症状が軽度であれば見つかりにくいこともあります。

腎機能低下症

井上さん「最後に、若白髪から読み取れるサインは腎機能低下。血液が浄化しにくく血液循環に影響して、白髪になることがあります。むくみにも気をつけてください」

血流が悪いと髪への栄養が届きにくく、白髪になりやすくなります。腎臓の病気ははっきりとした症状が表れることが少ないため、発見が遅れてしまうこともあります。

腎機能が低下すると余計な水分を排出できず、むくみやすい体質になります。腎機能低下によるむくみの特徴として指で強く押しても、くぼんだままでもどらなかったり、今まで履いていた靴が履けなくなってしまったりすることがあります。

若白髪は体からのSOSかもしれません。悪性貧血はビタミン投与で治療することができますし、腎機能低下症は薬物療法や食餌療法などが用いられています。放置するのではなく、原因をしっかりと解決することが大切です。

若白髪は検査すべき?他の症状も伴うときは病院へ

若白髪を見つけたら切る

井上さん「白髪が気になってもけっして抜かず、根元から切りましょう。または、染めてください。さらに、今までの生活習慣を見直してみることをおすすめします。」

病院に行くべきかについては、個人又は医師の判断となるので回答はできませんが、アドバイスとしては急に白髪が増え、体調にも変化があるときは、気を付けていただきたいです」

個人差や症状にもよりますが、急激な体調の変化は気にしておきましょう。

普段からの健康管理が大切

また、若白髪がある人は年齢を重ねると、さらに増えてしまうのでしょうか。

井上さん「遺伝的な要因による若白髪が必ずしも白髪が増えるとは言えませんが、人間は30歳過ぎくらいから体の代謝は衰え始めますので、早い時期からの健康管理が大切になります

若白髪は遺伝だとあきらめずに、自分の健康状態や頭皮の状態を見直してみてください。

ヘアケアについて前向きな気持ちでいられますように。

監修

井上 哲夫

一般社団法人 国際毛髪皮膚科研究所 理事/所長。東京理科大学卒業後、総合化粧品メーカーに入社。ヘアケア・スキンケア商品の研究開発部長を経て、国際毛髪科学研究所を設立。東洋医学を美と健康に応用する「脱毛ケア」「頭皮ケア」のオーソリティとして、現在までに全国各地のがん診療拠点病院および7000店以上の理美容店、その他各種医療セミナーで講演・指導実績を持つ。

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